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「法王庁の避妊法」

せっかく、自分のところのHPができたので、たまに見に来ていましたが、
この「コラム」のページに入ってみても、ずーっと、「準備中です。しばらくお待ち下さい」って書いてあるだけで、何もないじゃないですか。
これがコラムなのか?
そんなのありか?
「おいおい、コラムのページなんだから、早く何か読めるコンテンツ、アップしろよな」と思っていたら、なんか私が書くことになってたみたいです。
何もないはずだ。私が書いてないんだから。
どうもすみませんでした。

世田谷パブリックシアターで、『法王庁の避妊法』の公演が始まりました。

『法王庁の避妊法』は、あの有名なオギノ式(最近は、あんまり有名じゃないのかな?)の元となる「女性の排卵は一体いつあるのか」というノーベル賞ものの発見を、新潟で診療医をしながら成し遂げた荻野久作博士の物語です。

今じゃ、中学生の保険体育の教科書にも、生理と排卵の周期表は載っていますが、
荻野久作氏が、大正12年に「月経は排卵ののち十二日から十六日の五日間に来潮する」と論文に発表するまで、「排卵はいつなのか」ということは、世界の産婦人科学会に於ける最大の謎だったそうです。
はっきりした現象である生理は「いつ」なのか、誰にでも判りますが、「排卵期」(いわゆる「危険日」って奴ですね)をどのように算出するかは、大正時代の終わりまで、世界中を探しても誰一人知らなかったのです。

演出・鈴木は、稽古の初日、
「今回の『法王庁の避妊法』は、シチュエーション・コメディ形式の『プロジェクトX』のような舞台にしようと思ってます」と大威張りで宣言しました。
久作役・勝村政信氏が、いきなり「それってどういうこと?」と根源的な質問を発します。
鈴木「え?  判るでしょ?  判りやすいでしょ?」
勝村「いや、で、そういう舞台にするにはどうしたらいいの?」
鈴木「・・・それはこれから考えます」
鈴木が考え、役者さんたちが稽古を重ねた結果は、劇場にお越し頂ければご覧になれます。

稽古が始まってしばらくして、私が稽古場に行ったら、
勝村さんに「ちょっと、これ何だよ!?」と言われたので、「荻野久作という人の役ですけど」と答えたら、「そうじゃなくて!  なんでこんなに台詞があるの!?  しかも、何言ってるんだか、訳判らないんだよ!!」と大変お怒りのご様子です。
台詞が多いのは、荻野久作を巡る物語なので仕方ないと思うんですが、訳判らないのは「確かにそうでしょう」です。
何しろ、医学用語がてんこ盛り。しかも大正時代だし。判らなくても無理ないです。
舞台では、勝村・荻野先生は、まるですべて自分で思いついたことのように言ってますが。
ま、それも当たり前ですが。
ていうか、そうじゃなきゃ困るんですが。

稲森いずみさんは、久作の妻のとめ役です。
はじめて稽古場でお目に掛かった時、「まあ、なんて美しいのかしら。やっぱ女優さんは違うわ」と思いました。
うちの事務所にも女優はいますが、美しさで売ってるんじゃない人が多いもんで。
美しい女優さんていうのは、見ているだけで心がなごみますね。
でも、侮れないぞ、稲森いずみ!!
旦那の久作をド突くし、大荷物をぶつけて転倒させるし・・・乱暴者です。いや芝居なんですけどね。背が高いし迫力あります。大迫力です。

持田真樹ちゃんが、私に近づいてきて、子猫ちゃんのようなつぶらな瞳でじっと私を見つめ、
「あの、私、『コーゴーですか!!』って、どうしても言いたいんですけど」と、真剣に言われた時には、一体、何を言っているんだろうか?とまず思ったのですが、
真樹ちゃんは、鈴木と私がカットしたその台詞を言わないと「どーしても気持ちがつながらない」と言うことを訴えていたのです。
「コーゴー」っていうのは「交合」です。性交です。
そんな言葉ばっかり、この芝居には出てきます。
だから、真樹ちゃんも可愛い顔して「コーゴー」だの何だの言いまくっています。
そんなことばっか書いたのは、私だけどな。

荻野先生の助手、半三郎役の横堀悦夫さんは、なんか知らんけど、女優陣にも勝村さんにも、殴られるし、蹴られるし、突き飛ばされるし、エライ目に合ってます。
でも、嬉しそうです。
役なのか、本性なのかは判りません。
誰も見てないんじゃないかというところでも、常にこまか〜い芝居をして、面白いことやってて、私は爆笑です。
でも、青年座さんに「横堀をどうしてくれるのだ!!」と怒られないかと心配です。

三上市朗さんは、荻野先生の友人の医師役です。
それはいいとして、世間話してたら、彼も私も『スタートレック』好きだということが判明しました。
もう『新スタートレック・ネクストジェネレーションズ』はDVD買ったし、今テレビで放送しているのは、全部DVDに録画してるそうです。
録画できるDVDを持ってるのが、まずびっくりだ。
私『スタートレック・ボイジャー』を最初から見たいので、三上さん、貸して下さい。
ボイジャーの艦長、ジェインウエイはかっこいいっすよね?

西牟田恵さんといえば、新感線とかですげえかっこいい大立ち回りをやってたり、鈴木演出の『ピーター・パン』のタイガー・リリー役をやってますが、
本人曰く「私、脂肪肝みたいなんです」ですと。
お酒もそんなには飲まないそうですし・・・ていうか、あれだけ舞台で動き回ってるんだから、脂肪なんか全部燃焼してそうで、体脂肪率も5%くらいじゃないかと思えるのに、西牟田さんの肝臓に脂肪が、燃焼しないでついてるとしたら、私の肝臓は脂肪で埋まってると思います。フォアグラです。怖いな。
嘘だと言ってくれ、西牟田。

看護婦役の西尾まりちゃんは、怒った芝居がとってもチャーミングで、爆笑です。
本人は本気で怒った芝居をしてるんですが、たまに「そんなところでも怒るのか」ってとこもあります。でも、それがまた、すっごい可愛いぞ!!
怒り過ぎた余りに、もう泣き顔になってるシーンもあります。
必見です。怒るまりちゃん。
・・・この芝居に出てくる女性、皆強い・・・

持田真樹ちゃんの旦那役の桜井彰喜さんは、本人自体が面白いです。
くどいようですが、役じゃなくて、本人が、です。
ちょっと悲しい台詞を、まりちゃんが言う場面があるんですが、稽古場の通しで、その場面でデカイ音で鼻をかむほど号泣してます。
いや、悲しい台詞なので、泣いて下さってもいいんですけど、
だけど、稽古で何度も見てるし、通しも何回目かですよ?
でも、号泣。

こんな役者さんたちが、すごく頑張って下さっているし、面白い舞台になっていると思います。これから、どんどん面白くなるでしょう。
是非、劇場までお越し下さい。

(2003年12月15日)

 

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